エンジンオイル

エンジンオイルは、エンジン内の潤滑と冷却を担う

交換の頻度

2500-3000km毎(走行距離や負荷によって可変)

エンジンオイルの役割

エンジンオイルは、エンジン内の潤滑と冷却を担う。

オイルによる潤滑と冷却、まずはレシプロエンジンをみてみよう。

レシプロエンジンでも、ロータリーエンジンと同じくオイルジェットがある。

カムシャフトやバルブが存在するシリンダーヘッドには、油圧をシリンダーヘッドまで運んで、カムシャフトに噴射するジェットがある。

カムシャフトやバルブが存在するシリンダーヘッドには、油圧をシリンダーヘッドまで運んで、カムシャフトに噴射するジェットがある。

また、通常はクランクケース内部はクランクでかき上げられたオイルがケース内部を浮遊しているが、ハイパワーエンジンでは高温になったピストンを積極的に冷却するために、ピストンクーラージェットという部品がシリンダーライナー下部からピストンに対して、オイルを噴射し冷却をしている。

ひるがえって、ロータリーエンジンにも、この2つの役割を担うジェットがある。

前者に相当するのが、ローターハウジングに取り付けられたハウジングジェット。

そして後者、ピストンクーラーに相当するのが、エキセントリックシャフトのジェットだ。

前者は、上部にチェックバルブが付いていて、逆流を防ぎつつ空気とオイルを混ぜている。

このジェットのオイルの量は、FD3SやFC3SのRX-7、そしてRX-8では、その時点のエンジンの回転数とインジェクターの噴射量から負荷を導きだすCPUによって制御されている(ちなみに、SA時代は回転数と、アクセル開度だけで噴射量を決定していた)。

また、空気と混ぜられたオイルがすばやくハウジングに拡散するようにもなっている。
噴く量とその拡散の質にこだわって制御されている。

後者はエキセントリックシャフトから、ローターの回転運動によりローター内部や壁面を循環し、またステーショナリーギヤを潤滑・冷却する。
燃焼室にもなるローターは油冷されているということにもなる。
また噴射量は、エキセントリックシャフトの中のサーモにより、温度によって管理されている。

粘度選択や温度管理

ノーマルで通勤利用であれば、5W-30のマツダ純正ゴールデンターボを推奨。

有名なマツダのレーシングドライバーの話によると、700psのエンジンの最大馬力を壊さずに使い24時間を走りぬくル・マンでは、エンジンオイルの温度は90℃で管理されているという。

これは、9000回転未満での使用であり、水温も同じ90℃度までだという。

通常であれば、オイルは130℃を超えても沸騰するわけでもないので、冷却水のようなヒートスポットの心配はない。

つまり、ノーマルで常識的な油温の範疇であれば、冷間時から低回転域まで高い油圧を確保するために硬いオイルを入れる必要はない。

5W-30のマツダ純正ゴールデンターボのようなターボ車としては低粘度のオイルで、その範疇であれば、ローターハウジングに噴霧する油温が高いほうが有利になり、また、ローターに張り付く可能性も低くなる。

そうなると、10万kmを走行しても、アペックスシールの溝に偏って入って硬化してしまい、積もったカーボンがアペックスシールの動きを妨げ低回転時の圧縮を下げる原因となる、というような事態も防げるだろう。

さらに粘度が低い分、瞬時にエンジン各部にまで行き渡ることにより油膜切れを予防でき、加えて粘度が低い分、回転が重くなることを抑制できる。

なお、最大出力時に油温が低いに越したことはない。

かといって、渋滞時に油温100℃を超えた! というような状況に引っ張られて低負荷時に油温を抑えすぎると、効率的に拡散する効果が得られない可能性もある。

高出力を狙って組み上げられたエンジンの場合は、その本分である最大出力の発生回転域でのエンジン各部のクリアランスや、潤滑や冷却に携わる補機類の組み合わせと温度域のセットあアップなどにより、各々、その仕様のベストがあるので、エンジンオイルも作り手と相談してセッティングの一部みなして選ぶべきだろう(気軽にほかは選べないということでもある)。

付随して、ロータリーエンジンではよく聞く、燃料への2ストオイルの添加であるが、サーキットでの耐久性の保険としては有効な場合もある。

ノーマルであれば噴射量がエンジンの負荷によって適正にコントロールされているエンジンオイルだが、シビアな状況で、ガソリンに混ぜたエンジンオイルがインジェクターが高圧噴霧されることが、潤滑に対して有効な役割を担う可能性がある。

しかし、インジェクターの吐出量に対して、燃料が比率分のオイルによって減ることになる。

そのため、比率によっては、オイル添加を加味したセッティングが必要になる場合もあるだろうことはたやすく予想でき、「少しでも入っていれば大丈夫」「多めに入れれば安心」といった手前勝手で闇雲に入れても効果的であるという話ではない。