軸損失のトルク加算

執筆者 | 3月 30, 2021 | 1 シャシダイナモ | 2 コメント

車両の走行抵抗にはいくつかありますが、絶対に外せないのが軸損失です。

 シャシダイナモに、車両を載せてエンジンの出力を測るなら見逃せない補正の一つです。昨日はその軸損失の話をしましょう

たとえるなら、CX-5の4WDとFF車両では同じ出力ですが、走り比べると4WDのほうが遅く感じます。

その理由に4WDと呼ばれる4輪駆動車は、FFに比べて重いことが挙げられますが、それだけだと半分当たりです。まずはなぜ重いか?を知るとそのもう一つに理由につながるので知っておいてください。(スバルでよく呼ばれる4WDという名称とは別にAWDという名称がマツダでは使われていますが4つのタイヤで車を前に進める点は一緒です)

 デフ という言葉を聞いたことがあると思います。

デフとは、2WD(FF FR)ともについてる左右にエンジン出力を分けるもので、どんな車にも最低一個はついていて、エンジンから発生する一つの出力を左右タイヤに分ける装置が必要です。正しくはデファレンシャルという名称です。

これが、4WDになると、前と後ろにひとつづつついています。

いや、4WDには、もういっこ重たいそうちがあります。

前のエンジンの出力から後ろタイヤへの出力をわけるトランスファーです。これらの装置のなかでデフは、FFやFR車両には一個しかありません。

4WDになると、一気に3つになります。

これらの軸出力を切り分けして前後に伝えたり、左右に伝える為の装置は大掛かりのもので当然、摩擦損失も増えます。およそ2WDの場合200㎞時で40~50馬力の損失で4WDの場合だと60~80馬力の損失となります。

もちろん、これらの馬力損失(駆動抵抗)は車両の重さやタイヤの幅、タイヤ質、速度などよって変動します。経験上FDやFCだと40~60 GTRだと80馬力ほどになります。

 

 この、矢印(黄色左)が出力と、軸損失(黄色右)です、エンジンを最大馬力で回し測定し終わった後、ニュートラルで空走させて測っているので徐々に抵抗が小さくなってゆきます。

 全開ポイントから0より高く赤く跳ね上がってる山がが軸出力です。

 軸損失をうけながらも、地面(ローラー)を蹴って加速させています

4輪駆動だと、当然その駆動損失が2WDに比べて多くあるのでローラーを蹴る力は小さく表示されます。しかし軸損失の測定時に損失が大きい分、上下差分をとって表示します。

 え?ローラーを蹴る力が弱い4WDだと、、、やっぱり遅い?

 んじゃ、ばりきはちいさくなるの。。。?? 

同じ200馬力のCX-5でも、FFと、AWDだと加速力に差が出るのは、重さのほかに軸損失が違うからです。、

軸損失が大きい分、出力側へのグラフの高さが少なく表示はされます。しかしその分、軸損失側へマイナス表示も増えるのです。例えば同じ200馬力のエンジンを積んだCX-5の、FF車両と4WDは体感加速力(出力正味グラフ)が違ってもシャシダイナモでその正味出力グラフと軸損失グラフを同時に測って合算すれば、同じ測定値になります。

 いえ、同じ値にならなければなりません。それがシャーシを含めた測定装置、シャシダイナモです。

 エンジンだけの正味出力を測定する装置をエンジンダイナモと呼びメーカーの新車カタログで表記されるグラフはこれです。。(登録された呼称によってはいろんなメーカーのシャシダイナモには固有の呼び方があります)排気装置や冷却装置、いろんな熱負担も増えるので狭いエンジンルームに押し込んでみるとやや低めになる事があります。

どちらが正しいか?というとどちらも正解です。エンジン単体の出力も正確です。シャーシを含めた総合性能(先ほど話した軸損失やエアクリーナーやマフラー等を取り付けた状態)を測り比べ検討するシャーシダイナモも正確です。

さて、去年私が手に入れた時がボッシュのシャーシダイナモ(初代鉛筆式)は

こんな風に拡張されました。もちろん、ローラーは600馬力にも対応できる重さに変更してブーストの掛かりやロードは十分な重さになっています。

 そして、このファイル。見ての通り反陽子絵の高いWindows エクセルファイルでというがためにソフトウェアに自由度があります。

 まだ、ロガーとセットして大気圧や外気温度等の補正も順次加えてゆきますのでさらに一定の環境での比較を目指します。

ただ、我々がいま、30年を超える旧型車両の総合テストにとって大事なのは、走行時と同じ測定環境の再現と言えます。走行風こそ再現はできませんが外気温度も含め走行中のシュミレーションは安全であることも重要なポイントです。30歳を超えたRX-7をテストする場合、シャーシダイナモから発生する音の低減やマフラー音の低減は故障診断の精度やテスト中の安全運用にかかわる重要なファクターになりえます。いろんな音が周りから聞こえたり不要な情報がテストドライブ中の視界に入ると、中断もしくは注意をそがれることになり、安心の上に継続してテストを行える環境こそが大前提になります。たとえシャーシの上でも300㎞まで加速させるということは、危険なことですから。

これらの装置によって、今後更に新商品の改善や新規開拓を行い、皆さんのお手元にさらに良い商品を届けてゆくことになります。

後日実装される8chカメラを使ってリアルタイムにYouTube配信も行いますので、ぜひお楽しみに💛

 セッティングのイロハも盗めちゃいますよ

2 コメント

  1. atc

    boost 0.83k speed 250k power 318hp 出てますねー。

    返信する
    • 店主

      出力側と、軸損失側の合算で馬力が表示されます。
      また、トルクカーブって宇井形での表記方法も表示する方法もカスタマイズできます。

       もちろん、このシャーシボッシュ製ですがどのメーカーも基本は一緒なので、あとでカスタマイズしやすいようにエクセルファイルで管理しています。

      ここを探し当てた業者の方へ

       おたくの、ボッシュのシャーシが古い鉛筆式であきらめていませんか?
       NECの9821に縛られていませんか?
       フロッピーに縛られていませんか?
       メーカー製のファイル拡張子に縛られていませんか?
       電子管理できる最新式に変更も、うけたまわttwせdrftgyふじこlp;

      返信する

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